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 中学生の頃  男女のグループが明確に別れていた。  ぎりぎり中一では混ざっていたのだが、やはり思春期だとそうもいかない。  次第に私は孤立していった。  必然とも言えた。  あまりにも男勝りな性格と、可愛いを意識したら負けだと躍起になっていたから。  ……だって、可愛いを意識したら、私には何も勝てることがないとわかっていたから。  男友達から「お前は女だから」と見放された瞬間、それは私の幸せな子ども時代の終わりを告げるベルでもあった。  気づけば1人が多くなった私は1人になってから初めて『可愛いを意識しなければ友達が出来ない』と気付いた。そういう年なのだと。気づくのはあまりにも遅すぎた。でも逆にもう手遅れだ、と思うと同時にここまできたら失うものはないか、と開き直ったあたりは自分のポジティブな部分に感謝したい。  だから私はちゃんと努力をした。  努力を惜しまないのは私が唯一誇れる長所だったから。  授業中はどうしても眼鏡が必要だったがそれをやめてコンタクトに。  指定の制服の着方をしていたけど可愛い子たちのやり方を真似してスカートを短くしたり靴下を白から紺に変えて。  運動部に入っていたお陰で体系はスリムとはいかなくても太ってはいなかったから多少の足を出すのはセーフだった。  ついでに髪の毛の結び方も試行錯誤した。  けれどうまくいかなかったのでストレートで綺麗なミディアム黒髪ヘアを命とすることにした。
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