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そうしてやれることだけやった私はちょっとしか変わらなかったけど、気持ちが上を向いたおかげで一人でも堂々と廊下を歩けるようになった。
堂々としているのが良かったのか、それとも見た目がガラっと変わったのがよかったからかはわからないけれど可愛らしい女子たちに声をかけられることが増えていった。それが凄く楽しくて、幸せだった。
なんだ、こだわらなくても大丈夫じゃないか、って。
だけど、今まで積み重ねたものもやっぱり残ってしまった。
小学校の頃に家が近くて仲の良かった友達が女の子らしくなった私に「接しやすい」と言ってグループに入れてくれた。嬉しかった。華やかな世界に足を踏み入れたみたいで心が浮き立った。もう私は何が起きても生きていける、なんて無敵に感じていた。我ながら浅はかだったと思う。
グループに入って一カ月たった頃だろうか。女子だけじゃなく男子も見る目が変わっていたらしい。グループで昼食を食べていると「可愛くなったんじゃね?」と久しぶりに声をかけてくれる奴がいた。それが嬉しくて「照れるじゃん」て、小学校の時を懐かしく思って話を弾ませた私を見て――グループに入れてくれた友達は言った。
「世界が違う」
言われた時は意味がわからなかった。
困惑する私に彼女は説明してくれた。
運動部で男子と喋れる人は明るい世界の人。
男子と喋れず女子ばかりで集まる人は普通の人。
女子ばかりで集まるけどわいわいしている可愛い女子には入れないのが暗い人。
彼女は3番目の世界の人で、私は1番目の世界だと。
んなわけない、というか世界もへったくれもない!、と私は抗議したのだけれど暖簾に腕押し。
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