新作落語『初めてのお迎え』

7/16
前へ
/22ページ
次へ
 ひと月ほど過ぎた頃になりますと、お祖父ちゃんは よう昼寝をするようにならはったんですわ。  毎日の幼稚園のお迎えやら、チャンバラごっこに疲れてしまわはったんでしょうかね。  お迎えには来てくれはるんですけど、家に帰るとソファでゴロンと横になってしまわはりますねん。  シュンちゃんはその横で、アニメみたりロボットを組み立てたりして、一人で遊んではりますわ。  時々お祖父ちゃんのお額(でこ)に手ぇをあてては「お熱はないかなぁ」などとつぶやいて、優しいですねぇ。  お祖父ちゃんが目ぇが覚ましはったら 「お祖父ちゃん、ジュース飲む?もってきてあげようか?」 などと優しい言葉をかけてくれますねん。泣かせますなぁ。 「ありがとなぁ、シュン。ええ子やなぁ」 とシュンちゃんの頭を撫でていたお祖父ちゃん、突然バタッと倒れてしまいはりました! 「わあっ!お祖父ちゃんっ!どないしたんっ!」  するとお祖父ちゃんはニヤッと笑ろうて、 「ハハハ…大丈夫じゃよ。ちょっと落語の『死神』の真似をしただけじゃ」 「もう!お祖父ちゃんゆうたらっ!ボクびっくりしたやんかっ!」 「ハハハ・・・やあ、すまん、すまん」  シュンちゃん、むくれてはります。  するとその時・・・
/22ページ

最初のコメントを投稿しよう!

25人が本棚に入れています
本棚に追加