25人が本棚に入れています
本棚に追加
「あのぅ、お迎えにあがりましてんけどぉ…」
「ん?なんや、この声は? 聞いたこともない声やなぁ」
きょろきょろと見回しますと、薄鼠色の着物を着た冴えないオッサンが、お祖父ちゃんの足元に立ってるやないですか!
「あ!お前は死神やな!コラ!あっち行け!僕のお祖父ちゃんはまだまだ死なへんぞ!」
「え…ほんでも、今さっき、バタッと…」
「そやからそれは落語の真似をしとっただけやと言うとるやないかっ!」
「そない言わはったかて…私、お連れするようにて指令をうけとりまして…」
「だーかーらー、僕のお祖父ちゃんは元気なのっ!」
「あの、私まだ新米ではございますが、極楽往生なさいますように一生懸命お世話させていただきますのんで……」
「明日も明後日も幼稚園のお迎えがあるんやからっ! アカンて言うたらアカンッ!」
シュンちゃん、死神に体当たり!
その勢いでぶっ飛ばされた死神は、よろけてしもて、ソファにぶつかって、その下から這い出してきたゴキブリを踏みつぶしてしもうたんですわ。
最初のコメントを投稿しよう!