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教室に入り、席につく。先生が来て、ホームルームが終わる。
授業を四限乗り越えて、少し長めの休憩時間が来る。テンプレートのように毎日同じ日常が続き、俺はその日々に溶け込んでいった。
昼休みになり、俺は圭太と正面に向き合い、弁当を開いた。
朝から適当に冷凍食品を詰めた適当な弁当である。実家にいたときは親がなんでもしてくれていたのに、、とほほと思いながら箸を持つ。
圭太は売店で買ったのであろう、惣菜パンを三つ大きな口で頬張っていた。
俺も食べ始めようと手を動かすが、ふとスマホの画面に目がいった。見ると、すごい通知が溜まっている。
「14件、、」
「ん?」
圭太をよそに、俺は画面を開いた。
『青葉、既読つけて〜』
それは母親からであった。くだらないことでもすぐ連絡を送ってくる母である。多分しょうもないことだろうと思い、個人トーク画面に飛ぶ。
『そういうと思った』
『だからね、青葉にお願いがあるの』
『今、親戚の女の子が家にいるの知ってるでしょ?』
『あの、私の兄さんの奥さんの従兄弟の娘の旦那の‥えっと、ちょっと複雑過ぎて私も覚えてないんだけど、その子‼︎』
『海外に行くって決まった時に、申し訳ないんだけどネオちゃんも連れて行こうと思ったの(ネオちゃんってその子のことよ)』
『だけど、ネオちゃんどうしても行きたくないって。日本にのこりたいって言ってきて』
『でもネオちゃん小学生だし青葉みたいに一人暮らしさせるなんて無理だわ』
『しかもネオちゃんお人形さんみたいに可愛いんよ。もう1人にさせないって約束した直後にこれよ』
『ネオちゃんがカナダに来てくれたら本望なんだけど、本人も行きたくなさそうだし』
『お願い青葉、あんたのお家に一緒に住ませてくれない?』
泣いているスタンプが三つ連打されている。
俺は思わず目を見張った。
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