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「ちょっとあんた!七瀬様になんて態度なの?失礼じゃない?」
声がした方には、小柄な生徒が3人立っていた。その3人は、まるで女の子のように可愛らしい顔をしていた。そう、服装が制服のズボンなのを除けば、本当に女の子にしか見えない。この学園にいるからには男子のはずなのに、バッチリとメイクがされていてまるで男子には見えなかった。
さすがはホモが多い学校なだけあると言えるだろう。
3人の真ん中に立っているのが、今さっき喋った生徒のようだ。3人はそれはもう、ものすごく怒っているようだった。3人ともが、揃って不愉快そうに顔をしかめている。
快人に向かって言っていることは明らかだったが、快人はただ3人の方に顔を向けただけで何も言わない。
横に立っている1人が「無視しないで、何か言いなさいよっ!」と言い募る。
もう1人も、キャンキャンとまるで小型犬のように五月蝿く快人に怒鳴りつける。
「せっかく七瀬様が、学園に馴染めていない外部生のお前なんかに、優しく声をかけてくださっているというのに!なんなの?!謝りなさいよ!!」
だが快人はその勢いに全く臆することなく、ただただ鬱陶しそうに、胡乱な瞳を返すだけだった。ただそれも、長い前髪によって周りに気付かれることはなかった。見えていたら、怒鳴りつけてきた生徒達はさらに怒りを爆発させていただろう。
そこで、慌てたように七瀬が声を上げる。
「ちょっと、もういいよ!そこまで言わなくていいから」
「ですけど....!」
それでもさらに食い下がろうとした。
「ホントに大丈夫だから。鈴木君もごめんね?無理に誘ったりして。もうしないから」
こう言ったときの七瀬は、少し困ったような笑みを浮かべていた。表情からは、ただいきなり快人に怒鳴りつけだした3人に、少し困っているようにしか見えなかった。
だがそれは表情に出していなかっただけで、本当は快人の取り付く島もない態度に、少なからず傷付いていた。
その時、快人がたった一言こう言った。
「悪かった」
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