Episode.2

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 屋上についた快斗はカードキーで扉を開く。  今日はとにかく良い天気で、ドアを開ければきれいな青空が広がっていた。  屋上には一般の生徒は立ち入り禁止になっているだけあって、誰もいなかった。  快斗は端の方の少し陰になっている場所に座り、さっそく買ってきたおにぎりを食べ始める。  しばらく買ったおにぎりを快人が黙々と食べていると、突然屋上のドアが開いた。誰かが屋上に入ってきたのだ。  屋上に入ってくることが出来るのは生徒会役員や各委員会委員長などの、所謂役職持ちであるこの学園の権力者だけだ。  快人はそれをわかっていたから、ドアの開く音がしたときから嫌な予感がしていた。  快人はただ、人と関わらず目立たず過ごしたいのである。それなのに、役職持ちなんかと出くわすのは、快人からしてみれば厄介なことこの上ない。  だからこそ、屋上にいる間は誰も来ないようにと、内心秘かに祈ったりしていた。  快人が扉の方に目を向ける。そこに立っていたのは、一目見ればなかなか忘れられないような美形だった。それも、2人。  この学園で権力を握るには、容姿が大きく関わってくる。そして、顔が良いということは生徒達からの人気が高い場合が多い。大抵が役職持ちであったりする。  もしそうでなくとも、この学園では顔が良い者には大抵、親衛隊がある。ここは男子校なわけだから、男が男に親衛をしているというわけである。つくづくこの学園は''普通''ではない。  その親衛隊は普段はただ親衛対象者を見守っているだけなのだが、時に、親衛対象に近づく者に制裁を行ったりする。  制裁と言っても最近は風紀委員会の取り締まりが厳しくなっているので、滅多なことでは制裁はされていないし、数もとても減っている。それでもまだ、完全になくなっているわけではない。  つまりは、美形と関わればその美形の親衛隊に目を付けられることになる。  快人は別に同性愛者ではないし、ましてや役職持ちに取り入って学園でのし上がろうとか思っているわけでもない。つまり快斗にしてみれば、美形と関わって良いことなんて1つもないわけだ。
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