Episode.2

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 それはそれは綺麗な笑みを浮かべて、西園寺が快斗に言ったことは、快斗にとってはききたくもない言葉だった。  快斗はすぐにでも拒否したかったが、ここで拒否をして変に役職持ちに目をつけられても困る。内心でものすごく迷ったすえ、とりあえずは話を聞くことにした。 「わかりました。それで、そのお話というのは?」  快斗は、無駄な前置きは不要とばかりにすぐに本題を促す。とにかくさっさと終わらせて、一刻も早くこの場から離れたかったのだ。 「ありがとうございます」  それに笑顔で返した後西園寺が口にしたのは、快斗にとある後悔をさせるものだった。 「では単刀直入に言うと、生徒会の役員見習いになる気はありませんか?」  先程よりも深めた笑みを快斗に向けつつ西園寺が言ったことは、快斗に小さくない驚きを与えた。まさかそんなことを言われるとは思っていなかったのだ。快斗は最初は人違いではないかと疑ったが、名乗った覚えもない名前をしっかり把握されていたのだ。それは今更あり得ないだろうと、なんとか気持ちを持ち直し、快斗は気になったことを口にする。 「あの、少し気になったのですが、なぜ入学したばかりの自分が、いくら見習いとはいえ生徒会に?」  その快斗の質問を聞いて、西園寺は今まで終始浮かべていた微笑みを消して、意外そうな顔をした。  すると、名乗って以来ずっと黙っていた雛川がここで口を開く。 「それはね、快斗くんが今年の首席合格者だったからだよぉ〜。この学園では、毎年主席入学した新入生を生徒会見習いにするっていう、学園当初からの慣わしがあるんだよね〜。だから、君を我らが生徒会にお誘いに来たんだぁ〜。生徒会が抱きたい・抱かれたいランキングで決まるのは知ってるでしょー?この学園の生徒会でやる仕事内容は将来の仕事で役立つかもしれないからね!例え見た目が良くなくても、優秀な生徒を育てるために行われてるんだって〜」  ニコッと笑いながらそう説明する雛川。  雛川は先程からの会話からしてどうやら、少し語尾を伸ばす癖があるようだ。そして結構ずけずけと物を言うタイプでもあるようだった。  そして快斗は、雛川にサラッとファーストネームで呼ばれていることについては、今は触れないことにした。  
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