358人が本棚に入れています
本棚に追加
「ですから、強制なn」
ともう一度快人が言おうとすると、西園寺がそれを遮って言葉を放つ。
「それは、それを聞くということは、なんですか.....?生徒会見習いを、断りたい、と、そういう、ことですか?」
余程動揺しているのだろう。西園寺の言葉は途切れまくっていた。
そんな西園寺のことを全く気にせず、快人はキッパリと言い放つ。
「はい。せっかくですが、お断りさせていただきます」
それを聞いて、全く何を言っているのかわからないとでもいうようにポカンとした顔をする雛川と、目を見開き小さく驚きの声を漏らす西園寺。2人は快斗が断るなんて、思ってもいなかったのだろう。
「どうして断るのですか?鈴木君にとっても、悪い話ではないと思うんですが」
身体を快人の方に乗り出し、今度は早口で捲し立てる西園寺。
その勢いに少し引き気味になりながら、快人はこう答える。
「確かに生徒会の仕事をお手伝いさせていただくことはとても良い経験にはなると思います」
「だったら、」
「ですが、生徒会見習いを引き受ければ、仕事で忙しくなって放課後などの自由時間がなくなるでしょう。俺は特待生ですから、勉強に力を入れたいんです。いくら見習いとはいえ、生徒会の仕事と勉強との両立は、自分では難しいです。
それで、強制なんでしょうか?」
再度質問をする快斗に、西園寺がもう身を乗り出すこともなく笑みを浮かべて答える。ただ、その笑みは引き攣っていた。
「なるほど。強制ではありませんから、もちろん辞退することも可能です。理由も、確かに特待性である鈴木君は他の誰よりも勉強しなければならないでしょうね。納得です」
快斗が言った勉強という理由はただの建前で、本当の理由は、ただ面倒で人と関わりたくなかったからだ。
それに快斗は、勉強面では授業に出なくても特待性を維持できると考えていたほどだ。差し迫って頑張らなければならないことではなかった。
ただ今1番波風立てずに断ることができる"言い訳"は、勉強に専念したいと言うことだと考えたからだった。
最初のコメントを投稿しよう!