Episode.2

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「そうなんだよね~。俺、快人くんのことぉ、気に入っちゃったかもっ!」  快人はその時にはもう、さっさと2人に帰ってほしくて、あまり真剣に話を聞いていなかった。  だから、雛川がそんなことを言い出したときはまず自分の耳を疑った。何かの聞き間違いだと、そう思った。だが現実は快人の思った通りではなかった。 「璃もですか?」 「えぇ、黎もなのー?」 「そうですよ。珍しく、意見が合いましたね」  西園寺も、雛川の''気に入った''発言に同意し出したのだ。 「ホントだねぇ~」  快人が、こんな聞き間違いをするなんて最近疲れてるのかな、と現実逃避をしている間に、2人は快人を気に入ったと、完全に意見を合致させていた。  そして、快人に向かってこう言い出した。 「鈴木君、やっぱり生徒会見習いをするのは難しそうですか?」 「快人くんにはぜひぜひ、引き受けてもらいたくなっちゃったんだよね~」  西園寺と雛川が代わる代わる、快人を生徒会見習いに再度誘う。  それに今度こそ、聞き間違いではないと現実を見つめ出した快人。どうしてこんな状態になったのか、快人の理解は全く追いついていなかった。2人が快人を気に入った理由として、生徒会見習いの誘いを断ったことがあったから、もしかしたらやっぱり引き受けた方がいいのかなどとも考え出していた。  快人はこの時、珍しく混乱していた。  混乱した状態ではあったが、やはり誘いを受けるのは、自由に動ける時間が減って後々面倒だと結論を出した快人。  快人はとりあえず、この誘いを全力で断ることにした。 「自分にはやっぱり難しいです。ただ座学が出来るというだけで、生徒会の仕事が務まるとは思えませんし」  そう言って快人も再度断りの返事をする。  快人の断りの答えに、今度はひどく残念そうな顔をする西園寺と雛川。 「でもでも、仕事ならそんなに難しくないよ?俺達も全力で教えるしサポートするからさっ!」  そう言ってさらに食い下がり、快人に生徒会見習いを勧める雛川。 「生徒会見習いは、役員のみなさんをサポートするのが役目なんでしょう?だったら、逆にサポートしてもらってみなさんに負担をかけては意味がありませんし」  雛川の意見に反論しなんとか断ろうとする快人。
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