Episode.2

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 どんどん快斗は2人の相手をするのが面倒になってきていた。なぜこんなことになったのか、全くわからないのだ。生徒会見習いは断ったはずなのに、なぜか2人に気に入られてしつこく誘われているこの状況から、もう逃げ出したくなっていた。      「無理に誘うのはダメですよ、璃」  しかしそこでもう一度口を開いた西園寺が、雛川を止めた。  快人は、先程までは西園寺も誘ってきていたのに、なぜ止めたのかと少し訝しむ。  ただそれは雛川も同じだったようで、西園寺の言葉に反論する。 「えぇー、なんでー?生徒会見習いだったら、快人君と堂々と一緒にいれるんだよぉ?」   「このまま無理に誘い続けても、鈴木君に嫌われてしまうかもしれませんよ」  西園寺はそう答える。  その答えに雛川は「そっか、確かにそうだねっ!」と言い、あっさりと納得したようだった。  快人は、これでこの2人から解放されると思った。だが、西園寺がそのすぐ後に続けた言葉によって、快人はまた、頭を抱えたくなるのだった。 「その代わりと言ってはなんですけど、たまにでいいので私と会って話し相手になってもらえませんか?」 「なにそれ!いいねぇ、それ~!俺も、俺もっ!!」  今度こそ快人は本当に、膝をつき蹲って頭を抱えたくなるのだった。  まだ、生徒会見習いは断ることも簡単に出来た。珍しいことではあっても、勉強などを理由にすれば断ってもおかしくないことだった。  だが、西園寺と雛川からのこの申し出は、断ると、2人のことが嫌い、関わりたくないなどと2人に思わせてしまうことにもなりかねない。圧倒的権力を持つ生徒会だからこそ、滅多なことはしないと思われるが、やはり2人の機嫌を損ねるのは得策ではないだろう。  この申し出を断るのに良い言い訳が、快人はすぐには思い浮かばなかった。  しかしここで断らないと、快人は生徒会と関わり続けることになるだろう。  その関わりは、周囲に隠していたとしても、いつかはバレてしまう危険性がある。もしバレれば、親衛隊に並々ならぬ影響を与えることになるだろう。役職持ちには及ばなくとも、親衛隊はこの学園で大きな影響力を持っている。なにせ生徒のほとんどが誰かしらの隊に所属しているのだから。  ただでさえ外部生というだけで目立っていて、さらに入学したてでまだ規模が小さいとはいえ、その外見から熱心な親衛隊がある七瀬を、''傷付けた''のだ。  もう十分悪目立ちしている快人が、生徒会とも関わりがあると知れれば、親衛隊が荒れ、ひいては学園が荒れることになるだろう。  それは快人の望むところではない。 「えぇっと…」  快人はどうすべきか迷っていた。
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