Episode.3

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「なぁんだ。相模せんせー、」 「もう帰っちゃうのー?」  立ち上がった相模にいち早く反応したのは朱里と蒼真だった。残念そうな表情をして上目遣いで相模を見ている。 「そうだよ。これでも忙しいんだ」 「「そっかそっかぁ、残念だねー」」  そう顔を見合わせて、今度は先程までとは一変して2人で顔を見合わせて笑っている。     そんな2人を見て相模は一瞬疲れたような顔をしたが、すぐに扉に向かって歩き出した。  その背中にほかの役員たちもそれぞれ声をかける。 「相模せんせ、またねぇ〜」 「わざわざご苦労様でした」 「ごくろ..さま」  相模はそれらに振り返ることなく、書類を持っていない方の手をヒラヒラと振ってそのまま生徒会室を出ていった。  全員が相模に向けていた視線は、扉がゆっくりと閉まっていくことで自然と離れていった。 「それでは、私達も仕事をしましょう。入学式が終わっても、あっという間に新歓が来てしまいますからね」  西園寺がそう言って、全員に仕事をするよう促す。 「「やっと入学式が終わったのにぃ...」」  「新歓がまだあるんだったねぇ...」 「「ちょっとは休みたいぃー!」」 「そうだよぉ!1日くらい休んだっていいじゃーん」  西園寺に仕事を促されて会計と庶務はすぐさま休みたいと要求した。3人はやる気があれば生徒会の仕事もあっという間に終わらせることができるはずなのに、普段はすぐにサボろうとばかりする。ちなみに会長の九鬼もたまにフラッといなくなってサボる時がある。そんなサボり魔な彼らを、時には叱り時には餌で釣り、日々仕事をサボらせないように頑張っているのが他でも無い副会長の西園寺だった。   「実は今日は、昨日無事に入学式を終えられたということで最近人気のスイーツ店から期間限定の桜スイーツを取り寄せていたのですが....3人はいらんないんですね」  西園寺のお菓子がある発言に雛川と朱里と蒼真が目の色を変える。 「それを早く言ってよぉ〜」 「「今日も頑張ろっか!」」  そう言って朱里と蒼真、雛川はいそいそと仕事をし出す。  3人は甘いものが大好きだった。
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