幸せ、なんて

4月.入学

　今年、新しく国城学園に入学してきた生徒達の中で、周りの生徒の視線を集めている1人の生徒がいた。

　その生徒はこの学園では珍しい、特待生として今年からこの学園に通うことになった外部生だった。

　国城学園は小中高一貫校なのでほとんどの生徒が中学からの持ち上がりであり、外部生や転校生は珍しかった。さらに、国城学園の試験はとても難しく、特待生になるには相当の頭の良さが必要である。

　そのため、外部生というだけでしばらくは目立つ存在になる。だというのに、その生徒はさらに他の生徒達の視線を集めるような容姿をしていた。

　その生徒は、サラサラとした少し焦げ茶色がかった黒髪をしていた。だが、前髪が目を完全に覆うまで伸びており、さらにはマスクをつけていた。顔がほとんど見えない状態である。

　この学園は容姿に厳しい。あまり良くない視線を集めるのは簡単なことだった。

　その生徒の名は鈴木快人といった。