Episode.2

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Episode.2

 入学式翌日、さっそく始まった授業が終わり、今は昼休みだ。授業内容は、快斗にとっては今まで家で勉強してきたことと同じようなもので、比較的簡単だった。これなら特待生特権の授業免除を使っても大丈夫そうだ、と快斗は考えていた。  この学園の生徒達のほとんどは、お昼は食堂で食べる。  つまりは食堂には人がたくさん集まるということだ。快斗は人混みには近づきたくなかった。そしてこの学園には購買もある。大体の生徒が食堂に行くため、購買がそこまで混雑することはない。そうなれば快斗が、食堂を避けるのは自然なことだった。  快斗は購買で適当に何か買って、どこか人気が少ない静かな場所で食べることにした。  とにかく購買に行こうと快斗が立ち上がった時、昨日と同じ声が、また快斗を呼び止めた。 「あの、鈴木君。一緒にお昼、食べに行かない?」  昨日無視したというのに、また声をかけてくるなんて、よっぽど友達がいないのか?と快斗は思った。まぁ、この学園では容姿が重要視されるからこそ、整った顔をしている七瀬は友達ができにくいのかもしれない。だがやはり、イケメンは視線を集める。今も周りからチラチラと見られているくらいだ。  快斗は注目を嫌う。常に周りからの視線を浴びている七瀬と行動を共にするなど考えられないことだった。    快斗は、緩慢な動作で横を向き、ハッキリと告げる。 「無理」  相変わらず冷たい声だった。  七瀬は少し傷付いた顔をしていた。確かにこんなにあからさまに拒否されては傷付かない人の方が少ないだろう。  七瀬がまた何か言おうと口を開きかけたが、その前に横から別の声がかかった。
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