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病院を出て、隼人さんが出てくるのを待ったわ。持っていたハンカチを飛ばして、もし隼人さんが拾ってくれたら……運命を信じようって思った。ううん、そう思いたかったのね、きっと。
隼人さんはハンカチを拾ってくれた。うれしかったなあ。こんなわたしにも、また奇跡みたいな出会いが訪れるんだって、本当にうれしかったし、救われた気分だった。
でも、どうやってアプローチしたらいいのかわからなくて、とにかく偶然を装って隼人さんの前に現れるようにしたの。そうすれば、きっと隼人さんも運命を感じてくれるだろうって思ったから。その頃は、やっぱり少しおかしかったのかもしれない。だんだんと隼人さんが冷たくなって迷惑そうにしてても、隼人さんを追うことをやめられなかったから。
そうして一年が過ぎる頃──綾美さん、あなたが現れた。更に一年が過ぎると、今度は夕貴さんが現れた。そこで、わたしは気付くの。隼人さんも颯人さんと同じだったんだって。
わたしは、ますます運命的なものを感じたわ。今度こそうまくやりなさいって、そう神様に言われてるんだって。だから、どうしても隼人さんを諦めることができなかった。
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