3-1『紗江』

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「調査報告に参りました」 「はい?」 「雨宮柊くん、ご存知?」 「ええ、まあ……」  雨宮柊、その彼こそが紗江が室戸に捜索を頼みにいった『嶋田翔』本人である。 「うん、その雨宮くんからね、依頼を受けまして」 「柊くんから?」 「そう。で、その調査報告はあなたにしてほしいんだと」  そう言って室戸は封筒の中から書類を取り出し、メガネをかけると紗江に報告をはじめた。 「まず、上田綾美さんのその後ですが、彼女は現在都内の某オフィスで働いています。恋人なし。見たところ生活も安定していて、休日にはひとりでショッピングに出かけたり、飲みに行ったりと、おひとりさま生活を満喫している模様」 「……」 「なにか質問があれば答えますよ?」 「あ……見た目はどんな感じでした?」 「見た目? えーと、髪は肩より少し長くてゆるふわっていうの? パーマがかかってて、なかなかの美人さんだね」 「そう……良かった」  綾美の幼い顔だちには、ショートカットより女性らしい髪型のほうが似合う。隼人に少しでも好かれようと男の子のように短くしていた髪が、紗江は見ていて切なかったのだ。
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