3-1『紗江』
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室戸の話を聞いたからといって心が軽くなることはない。自分だけのせいじゃなかったと、ほっとすることもない。今さら、なにもかも遅いのだ。もう颯人はいない。戻ってくることはないのだから。 室戸が残していった名刺をじっと見つめる。雨宮柊。彼には、お礼を言わなければならない。もし柊がいなかったら、きっとどこかで大きく道を踏み外していた。 ──柊くんに会いに行こう。
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