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都合のいいことを言っているとわかっている。ずっと柊の優しさに甘え、好き勝手に行動して振り回しては突き放してきた。だが、もう紗江には柊しかいない。否定することなく自分を受け入れ、近くから遠くから見守り愛してくれる柊こそが、自分の愛すべき人なのだと紗江は今さらながらに気付いたのだ。
「駄目なわけ……ないでしょ!」
やったあ! と、子どものように声をあげ、柊が紗江を抱きしめてくる。
「紗江さん、絶対だよ? 本当にもう離れないからね」
「ふふ、うん」
もう二度と決して離れない。
これからは彼のそばで生きていくのだ。
雨宮柊──柊の花言葉は『あなたを守る』。
ようやく運命の相手に巡り会えたのだと紗江は静かに涙を流した。
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