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許せない……!
いや、許さない!
自分はなにもかもを失ったというのに、綾美という女は隼人を手に入れ、そのうえ隼人の子どもまで身籠りのうのうと生きている。そんなことが許されていいはずもない。
隼人が綾美に手を振り、最寄りの駅へと向かって歩きだす。その横顔はとても幸せそうだった。隼人を見送る綾美もまた、人生最良の時といわんばかりの顔をしている。
絶対に許さない!
嫌われもののゴキブリのように、じっと物陰に身を潜めながら、紗江は強く両手を握りしめた。
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