1-2『綾美』

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 そうして綾美は、隼人と知り合いになり、友人になり、親友となり──今に至る。 「綾美、そろそろ定期検診じゃないのか? 今度はぼくも一緒に」 「ううん、いい。隼人は仕事忙しいでしょ」 「でも……」 「ほんとに大丈夫だから」  隼人はとても優しい。妊娠が発覚した時は動揺をみせていたが、それなら紗江とのこともケリをつけると覚悟を決めてくれ、今はこうして平穏に暮らしている。  隼人の子を産むことは、綾美にとって夢であり希望でもあった。子どもができれば、きっと隼人も変わってくれる。きっとわかってくれる。そんな想いから綾美は子どもを作ることを強く望んだ。 『隼人に迷惑はかけないから』 『迷惑とか、そういうことじゃなくて……綾美だってわかってるだろう?』  子どもを作ることを隼人はしぶったが、最終的には根負けし「綾美がそれでいいなら」と承諾してくれたのだった。 「綾美、悪い。ちょっと出かけてくる」  日曜の午後。隼人はそう言って身重の綾美を残し、さっさと玄関へと向かっていく。少し突き出たお腹を押さえながら綾美はそのあとを追う。 「何時頃、帰ってくる?」 「んー? ちょっとわかんないな」
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