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電話するよ。隼人はそう言うが、綾美が聞きたいのはそんなことではない。
「夕食は?」
「作らなくていいよ」
靴をはき振り向いた隼人は、早く出ていきたそうにしている。それもそのはずだ。きっと今から恋人に会いに行くのだろう。隼人の全身からうきうきとした感情の波が、これみよがしに放出されている。
「じゃあ、行くね」
それを止める権利は綾美にはなかった。いや、そんなもの最初からなかった。
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