2-1『紗江』

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「いつも?」 「え?」 「颯人さんはいつもそうなの? 男と女、必ずひとりづつ好きになるの? どうしてっ、どうしてわたしだけじゃダメなの……どうしてっ」  頭の中がぐちゃぐちゃだった。こんなことなら黙っていてくれたほうがよほど良かった。知らずにいたなら幸せだった。颯人が自分以外の誰かを自分と同じように愛しているなど、そんなこと紗江には耐えられそうもなかった。
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