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風船が割れてすべてが終わった。本来なら、隼人のいない間に流産したことにするつもりだったのだ。子どもを産むという幸せからどん底に突き落とされた自分を、きっと隼人は献身的に支えてくれただろう。そして、その先に愛情が芽生えることを綾美は期待していた。
愚かで小さな希望。
だが、それは自分を階段から突き落としたあの女のせいで、風船と共に砕け散ってしまった。
「……ぜんぶ、なにもかも、あの女のせい!」
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