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「涼しい…。」
朝の風は心地よく、程よく涼しい。季節は春か秋なのだろう。
いた世界はちょうど4月になったばかりだった。この世界はいた世界と同じ景色で違うところもあるが、どこか似ている。
しばらく歩いて行くと、花が植えてあった。ここは庭園なのだろう。花がきれいに咲いていた。すると、奥のほうに何かがあった。
「…あれは…人影…?」
形や大きさ的に人に見える。おそらく銅像か人だろう。
近づくと影が動いた。影は2つある。
(こちらに振り向いた…?)
人なのだろうか。朝になったとはいえ、まだ暗い。そのうえ遠い。
私の視力では、ぼんやりとしか見えなかった。
今度は向こうからだんだん近寄ってきた。それが徐々に人で、私よりも少し背の高いということが分かった。2人ともおそらく男の人だ。細いながらもしっかりとした体の細マッチョだ。…別に変な目で見ている訳ではない。
「…おい、茉莉花!なんて格好でうろついているんだ!?」
向こうから話しかけてきた。この声は…イダ…?
そして…はっきりと見えた。1人は服のつくりが凝っている。黒髪で右目が青、左目が赤のオッドアイという目だ。姿勢や顔つきもしっかりしていて身分が高そうな人だ。もう1人は、これまた黒髪の金色の目で…
「えっ…!?ケモ耳!?」
耳がもふもふとした猫耳だった。まるで…というより、これは…
「まさか…イダ…なの…?」
「あぁそうだ。って、そんなことよりなんでこんな格好でここにいるんだ!!
メイドはいないのか?」
イダは心配してくれているのだろうが、私は人型に変身しているイダに驚いてそれどころではなかった。もう1人の人は私を見ないようにしてくれていた。
「…一体何がどうなって…」
「それはこっちのセリフだ!!!!!」
こうして私の散歩は説教会になってしまった。
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