1 召喚

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気づくとそこは明らかにさっきまでいた自分の家ではなかった。 驚きで声が出ない。呼吸がちゃんとできているのかすら分からなかった。 数秒して、ようやく頭が整理し始めた。 (ここはどこだろうか…) あたりを見回すと、西洋の教会のような造りになっている。 周りには喜んでいる人や戸惑っている人がいた。人数は20人くらいだろう。 「ちょっと!ここどこよ!?誰よあんた達は!!」 隣から甲高い声が聞こえる。この声には聞き覚えがあった。確か名前は… 「ようこそいらっしゃいました。聖女様……おや…2人ですか…」 「は…?聖女…?私は本堂桜よ!聖女だなんて言われたくないわ!」 周りの人の中でも服のつくりが凝っている、歳を感じる人が話しかけてきた。 おそらくこの中では身分が高いのだろう。そんな人にも躊躇いなく本堂さんは怒鳴ってい……話している。 本堂桜さん。私のクラスメイトで女王のような存在だ。何故かよく私に突っかかってくる。心当たりは一切ないのだが。別にそこまで気にしていないが… (本堂さんの笑い方が大嫌いなあいつに似ていて…) ひゅっと息を吞む音が出た。思い出すだけでもおぞましい。がくがくと肩が震えた。吐き気がする。気持ち悪い… 「そちらの方は…?」 「…ちょっと、大丈夫なの!?」 本堂さんに肩を触られて、ようやく私が何か聞かれていたか気づいた。 「…新堂…茉莉花…です…」 情けない声が弱々しく出た。 「ふむ…ホンドウ・サクラ様とシンドウ・マリカ様ですね。  では、この世界についてご説明させていただきます。…がその前に…」 いつの間にか私の周りにはメイドさんたちがいた。 「このままの服ではあまりこちらの都合が良くないので、服を用意させて  いただきました。こちらに着替えていただきます。部屋も用意いたしま  した。そこでお着替えください。」 流されるように私たちは別々の部屋へ案内された。 そしてドレスをメイドさんに着せてもらった。可愛らしい淡い水色をしていて 露出は控えられているシンプルなものだった。オシャレがあまり得意ではない私でも着ていられた。 「大変よくお似合いですよ」 メイドさんに優しく話しかけられた。 「…ありがとうございます。とても気に入りました。メイドさんたちに着替え  を任せて良かったです。」 思ったことがすらすらと出てきた。だんだん落ち着いてきたからだろう。 すると、メイドさんたちは…何故か顔を伏せたり肩を震わせていた。 (どうしたのだろう…何か失礼をしてしまったのだろうか…!?) 「…さて、そろそろ移動いたしましょう」 1人のメイドさんに言われ、私は立ち上がり、部屋を出た。 移動している最中、すれ違う人にチラチラと見られた。 (私、やっぱり何かしたのかな?????????)
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