2人が本棚に入れています
本棚に追加
気づくとそこは明らかにさっきまでいた自分の家ではなかった。
驚きで声が出ない。呼吸がちゃんとできているのかすら分からなかった。
数秒して、ようやく頭が整理し始めた。
(ここはどこだろうか…)
あたりを見回すと、西洋の教会のような造りになっている。
周りには喜んでいる人や戸惑っている人がいた。人数は20人くらいだろう。
「ちょっと!ここどこよ!?誰よあんた達は!!」
隣から甲高い声が聞こえる。この声には聞き覚えがあった。確か名前は…
「ようこそいらっしゃいました。聖女様……おや…2人ですか…」
「は…?聖女…?私は本堂桜よ!聖女だなんて言われたくないわ!」
周りの人の中でも服のつくりが凝っている、歳を感じる人が話しかけてきた。
おそらくこの中では身分が高いのだろう。そんな人にも躊躇いなく本堂さんは怒鳴ってい……話している。
本堂桜さん。私のクラスメイトで女王のような存在だ。何故かよく私に突っかかってくる。心当たりは一切ないのだが。別にそこまで気にしていないが…
(本堂さんの笑い方が大嫌いなあいつに似ていて…)
ひゅっと息を吞む音が出た。思い出すだけでもおぞましい。がくがくと肩が震えた。吐き気がする。気持ち悪い…
「そちらの方は…?」
「…ちょっと、大丈夫なの!?」
本堂さんに肩を触られて、ようやく私が何か聞かれていたか気づいた。
「…新堂…茉莉花…です…」
情けない声が弱々しく出た。
「ふむ…ホンドウ・サクラ様とシンドウ・マリカ様ですね。
では、この世界についてご説明させていただきます。…がその前に…」
いつの間にか私の周りにはメイドさんたちがいた。
「このままの服ではあまりこちらの都合が良くないので、服を用意させて
いただきました。こちらに着替えていただきます。部屋も用意いたしま
した。そこでお着替えください。」
流されるように私たちは別々の部屋へ案内された。
そしてドレスをメイドさんに着せてもらった。可愛らしい淡い水色をしていて
露出は控えられているシンプルなものだった。オシャレがあまり得意ではない私でも着ていられた。
「大変よくお似合いですよ」
メイドさんに優しく話しかけられた。
「…ありがとうございます。とても気に入りました。メイドさんたちに着替え
を任せて良かったです。」
思ったことがすらすらと出てきた。だんだん落ち着いてきたからだろう。
すると、メイドさんたちは…何故か顔を伏せたり肩を震わせていた。
(どうしたのだろう…何か失礼をしてしまったのだろうか…!?)
「…さて、そろそろ移動いたしましょう」
1人のメイドさんに言われ、私は立ち上がり、部屋を出た。
移動している最中、すれ違う人にチラチラと見られた。
(私、やっぱり何かしたのかな?????????)
最初のコメントを投稿しよう!