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水晶は光っているのに何色かあらわせない。
(色が混ざりすぎていて、何色があるのかわからない…)
水晶にうつるはずの数字は、何が何だかわからないという事態が起こっているようだ。
助けを求めて振り返ると、これには周りもびっくりしたようだ。
目を開いていたり、口をおさえて声を出さないようにしていたりした。
「今まで教祖として40年以上生きてきましたが…こんなことは初めてで…
前例がありません…」
(今、あの人教祖と名乗った…!やっぱりあの人偉い人なのか…)
さっき見た人…もとい、教祖さんは震えていた。汗もすごく出ている。今までにはなかった異常事態に焦りでも感じているのだろうか。
「…前例とかどうでもいいから。私たちはあなたの言う通りにしたわよ。
今度はあなたが私たちの言う通りになっても文句は言えないはずよ。
疲れたからとっとと休ませて欲しいんだけど……。こんなところに
聖女候補いつまでもいていいの?」
重い空気の中でも躊躇わずに本堂さんはズバズバと言った。その言葉からは、強い説得力を感じられた。まるで私をかばってくれているみたいだった。
(まさか…ね。そんなことないか…)
「…この後の予定はメイドに伝えますので…お部屋でおくつろぎください」
そう言って教祖は部屋からよろよろと立ち去って行った。
部屋に戻り、近くにあった椅子に座らせてもらった。まず最初に、さっき
ドレスを着せてくれたメイドさんについて教えてもらうことにした。
「マリーナと申します!これからシンドウ様の身支度を整えるメイドとして
務めさせていただきます。よろしくお願いいたします!」
明るい挨拶で、聞いていてとても明るい気持ちになれた。
「こちらこそよろしくお願いします。疲れたので休みたいのですが…」
「はい!ではこちらのお召し物を替えさせていただきますね~。」
手際よくドレスからふわふわした服に着せ替えられた。
「こちらのベッドをお使いください。何かありましたらお呼びくださいね。」
1分もしないうちに着替えが終わり、マリーナさんが部屋から出ていった。
「…ふう…」
勢い良くベッドに飛び込むと、ボフッと音を立てて体が沈み込んだ。
とても柔らくて、家のものとは比べられないほど上質だ。
(本当に眠たくなってきたな…)
うとうとしながら首にかけているネックレスを見た。
エメラルドグリーンのような色でシンプルな形のした第一関節ほどの大きさの石がついている、金色のチェーンネックレスだ。
決して派手なつくりではないが、誰もわからないほどではないはずだ。
教祖さんや本堂さんが気づかなくても不思議ではないが、メイドさんまで何も触れてこなかったのはいささか不自然だ。
(このネックレスには何かあるのだろうか…?)
ネックレスに触れていると、だんだん瞼が重くなってきた。
大人しく目をつぶるといつの間にか寝てしまったのだろう。そこからの記憶がなかった。
「やぁ!久しぶり…と言ってもそこまでではないか…」
少年は明るく少女に話しかけました。
「うん。なんで会えないって言ってたの?」
少女は少年に問いかけましたが、少年は難しい顔をしてしまいました。
「…もっと会えるのは後だと思ってたから…あの人は焦ったのかな?…絶対に
失敗するって言ったのに…」
「…?まだ2人で遊べないの?」
「うん。そうみたいだね。ごめんね。」
「ううん。大丈夫だよ。次には遊べられるといいね!」
「そうなるといいね!」
そして、少年はだんだん光に包まれていきました。
「またね。…あっそうだ。ネックレスのことはみんなに内緒だよ」
「?? うん。分かった。」
『!?…なんでそれを…』
そこで目が覚めた。
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