3 取引と親交

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取引が成立し、ちょうどいいタイミングでマリーナさんが呼びに来た。 「お夕食のご用意が出来ました。」 (もうそんな時間…?) 時間を確認してみると、もうすぐ18時だった。 こちらの世界に来たのは大体7時、教祖の話が終わったのが9時くらいだ。 本堂さんとの取引に10分もかけていないから、寝ている時間が思っていたより長かったようだ。 意識したからか、小さくおなかの音が鳴った。もちろん私のおなかが、だ。 (…人に聞かれるのはいささか恥ずかしい…) 聞こえてしまっただろうが、2人とも聞かなかったふりをしてくれた。 「早く行きましょ」 「う、うん」 案内されて入った部屋は広い部屋で、長いテーブルと椅子があり、周りに観葉植物や装飾品が置いてあった。ひとつひとつの造りが豪華でどれも高級品だ。 (この国は政治がうまくいっているのかな…?) そんなことを考えていると料理が運ばれてきた。 フランス料理のようなもので、見た目はきれいだ。食文化は発達しているように見える。 「「…いただきます。」」 覚悟を決め、本堂さんと一緒に料理を口に運んだ。 食事を終えて部屋に戻ってきた。 料理は美味しかった。だが、イメージしていた味と違っていた。 見た目は洋食なのに、味は和食…と言えばいいのだろうか。 (不思議な感覚だったな…) そもそも食事をろくにしたことがなかったからかもしれないが、食べたことがない食感と味の組み合わせだった。おいしいことに変わりなかったが。 コンコンコンコンとノックが響く。 「はい、どうぞ」 「失礼します。シンドウ様、湯浴みの準備が出来ました。」 マリーナさんがお風呂の準備をしてくれたようだ。 「ありがとうございます。」 「…シンドウ様。メイドに敬語はいりません。私のことはどうかマリーナと  お呼びください。」 「分かりま……分かった。教えてくれてありがとうマリーナ。」 「はい。ありがとうございます。」 これだけのことだったが、マリーナと少し仲良くできたような気がした。
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