3 取引と親交

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「…おぉ~…すごい…!」  それは、外国の絵画にでも出てきそうな華やかな光景だった。 ほどよい室内の広さに細かい飾りがオシャレで、それだけでなく機能性が高そうだ。お風呂のお湯は入浴剤入れたときみたい…らしい?入浴剤使ったことないから知らないけれど…。この空間をつくるのにどれだけの時間と費用をかけているのかと思うと感動してくる…。 ただお風呂につかるだけでなく、心からくつろげるように工夫されているのが本当にすごい。 残念ながらその光景を表せるような語彙力は私にはないが…これだけの空間をつくるのに苦労したことは分かる。 「…シンドウ様、お体を洗わせていただきます。」 「…!?」 ただ単純に驚いた。そんなことされるとは微塵も思っていなかったから。 「えっ…じ、自分で洗います!!!」 「…シンドウ様。諦めてください。あと敬語はおやめください。」 マリーナの静かで冷静な声が無情にも響いた。 「…では何かあったら何なりとお申し付けください。」 そう言って部屋の扉を静かに閉めた。 マリーナが気遣うように素早く終わらせ、いつの間にかもう寝れるようになっていた。ほんとにできたメイドだ…。 (本当にすごいと思う。本当に……うん…だいぶショック…) 思っていたよりショックだったようだ。 「もう早く寝よ…」 私はのそのそとベッドに寝転んだ。 「…あれ…こんなところに窓があった…んだ?」 昼間は角度的に気付かなかったようだ。疲れていたこともあるからだろうか。 他の部屋の飾りと比べると少しシンプルだ。 (あ…開きそう) 窓を開けて外を眺めてみる。 「…おお…」 外はきれいな星がたくさん光って見えていた。 「…今日は星がきれいですね。」 (…ん????今の声…私の声じゃない…) 外から声がしたけど…外にいるのは猫くらい… 「あぁ、びっくりさせちゃったかな。猫が喋ってるんだよ。」 「…へっ…!?」 本当に猫が喋っている。 (どうなっているんだ…????) 私は呆然としてしまった。
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