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1 召喚
あるところに一人の少女がいました。
少女は時々どこかの国の少年と遊ぶ夢をみていました。
今日も少女は少年と遊んでいました。
「今日は何して遊ぶ?」
少女はワクワクして少年に話しかけます。
「…今日からもう遊べないんだ…ごめんね」
「…えっ…?」
少年はつらそうに少女に話します。
「僕の国が今、大変なんだ…。
僕も対策しないといけなくて…
だからこれから忙しくなるから会えないと思う。」
少女は驚き、泣きそうになりながら必死に少年に問いかけます。
「それが終わったら…また会える?また話せる?また…遊べる?」
「うん。…きっとまた会えるよ。」
少年はそう答えるとだんだん小さな光に包まれていきます。
「今度は夢じゃなくて…で会えるよ」
「えっ…?き、聞こえな…」
私はそこで目が覚めた。
いつからだろうか…この物語のような夢を見だしたのは…
この夢は私そっくりの6歳くらいの女の子と同い年くらいの男の子が、一緒に遊んでいる…というのを私が遠目で眺めている。2人に話しかけたり、触れたりはできないけれど、ナレーションみたいな声が聞こえてくる。まるで絵本を読み聞かせをされているみたいだった。
いつからかこの夢を見ることが楽しみになっていた。
(…でも…遊んでいない夢を見たのは初めてだったな…)
そんなことを考えていると、目覚まし時計のなる音がした。
時計を見ると午前七時だった。
「そろそろ着替えないと…」
ベッドから出て、クローゼットから出した制服を着た。
部屋を出ると、狭くて暗い廊下が姿を現す。
そのまま廊下を出て身だしなみを整えて革製の鞄を持つ。
一人しかいない家は静かで寂しさが漂よっている…のだろう。
ずっと一人暮らしだったから想像しかできない。
「…行ってきます。」
相変わらず我ながら声に覇気がない。やる気が出ていないのが見て取れる。
だからだろうか。床が光っているのに気付くのが遅れてしまったのは…
「…えっ…な、何…!?」
気づいた時には動けなくなって意識が朦朧としていた。
魔法陣みたいなものが廊下の床で光っている。
それに反応してか、首にかけている形見のネックレスが淡い光を放っていた。
(だんだん…い、意識が…)
そして私は目を閉じてしまった。
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