第二話 「изменять(変化)」

1/1
前へ
/75ページ
次へ

第二話 「изменять(変化)」

05df4e39-68d3-4ec1-9d8b-d10f07b9db7f「おい! 次の記事の企画は決まってんのかっ!」 「ええ・・・すでに決まってますよ」 「礼文・・・・っ」 第四編集局の中で怒鳴り声を上げていた 日朝新聞の巨漢社員、中根 学は 自分の言葉に綽綽(しゃくしゃく)とした態度で 返事をする後輩社員を見て、 思わずその言葉を止める... 「な、何だ、礼文か....」 "ギイイイイイイィィィィ.... 礼文は自分の座っていた 回転式の椅子を傾けると、大声を張り上げていた 中根に向かって歪んだ表情を見せる.... 「何も、牧場や何かじゃないんですよ...」 「ぼ、牧場?」 "ギイイイイイイイィィィィィ.... 戸惑った表情を見せている中根に向かって、 礼文がさらに言葉を続ける 「そんな、太った体をして------?   ....中根さん?」 「き、キサマ....!」 "グッ" 「み、三咲....!」 "フル フル" 「・・・・!」 目の前の後輩の態度に、中根が一歩 その後輩に向かって足を進ませようとするが、 脇にいた中堅社員、三咲 恭二が 前に進んで行こうとする中根の上着の裾(すそ)を 後ろから引っ張り、首を横に二回ほど振る 「ここは、北海道か何かの  自然地帯じゃあないんです...」 「し、自然地帯-------!」 「な、中根くんっ」 「ッ!」 "ガサッ! 「・・・どうしたんですか...? 中根さん...」 「な、何でもない....っ!」 "ガサッ ガササッ! 「なら、いいんですけどね------?」 「~~~~~っ...」 "ガサッ ガササッ! 「ち、ちくしょう....モグモグ...」 「な、中根くん、こらえて下さい------!」 「------っ! モグ、モグ、モグ....」 "ガサッ ガササッ! 礼文が後ろに振り返ったのを見て、中根は 自分のズボンのポケットから ロシアのソシースキ(ロシア風ソーセージ) を取り出し、その包みを破ると 悠然と歩き去っていく礼文の後姿を睨み付けながら トマトケチャップの付いたソシースキを 口一杯に頬張る.... 「ち、ちく...モグ....  あ、あの....モグ....モグモグ...っ!?  -------!? う、うまいっ。」 「(何で、こうなったんだ....)」 「な、中根くん、それは-------!」 「-------うるさいっ!」 "バンッ!" 「あ、ぁあっ!?」 「く、クッソー....モグモグモグ...」 食欲過多の中根の体調を心配した三咲が 中根が再びポケットから 食料を取り出そうとするのを見て、それを止めようとするが 中根は三咲の腕を振り払い 再び包みの中に入った トヴォローグ(カッティングチーズ)を 口の中に放り込む! 「く、くっ....ソ~...あ、う、うまい...  モグモグモグモグ....」 「(中根....三咲....)」 「それより、明日のアロ!・コムソモーレツ  のレイアウトはどうするんですか?」 「"!"」 編集長席の前に立てた衝立(ついたて)の裏から 隆和が室内の様子を伺っていると、 先程まで中根とやり取りをしていた礼文が 部屋の全員に聞こえる様に、 自分のパソコン画面に表示された 「アロ!・コムソモーレツ」紙の インターネットサイトの トップ画面を表示させながら 声を上げている姿が見える.... 「江母井編集長....」 「"!"ッ!?」 「そんな、端に隠れて何を  やってるんですか------?」 「・・・・」 "スッ" 「何も、隠れてた訳じゃあ、無いんだがな...」 "コッ コッ コッ コッ.... 衝立の裏から出ると、隆和は 自分の席と衝立の間に立っている 礼文の元へと歩み寄って行く.... 「フッ....また、てっきり、下らない、  "女子高生"ゲームでも  やってたと思いましたよ------!」 「(-------!)ッ!」 投げ捨てられた様な一言に、 思わず隆和の血の気が引いていく 「------いい年をして・・・!  そんな、ゲームにウツツを抜かしてるから、  いつまで経っても、"Earth nEws"に  編集長の記事が掲載されないんですよ-----?」 「(--------!)  ・・・あ、ああ、一応、  努力はしてるんだがな....」 "フッ" 「子供じゃあないんだから、  "努力"より、"成果"を  出してくれませんかね・・・?  江母井さん-------?」 「(-------っ!)」 "バッ 「それじゃあ、今日は今週の  アロ!・コムソモーレツの掲載記事の  立案でも出していきますか」 「あ、それいいかも!」 「(ゆかり・・・!)」 「マタ、レブンくん、面白いアイデア  持ってきてるんじゃない?」 「(ホアン....!)」 「Ведь скорость  публикации ваших  статей здесь на  сегодняшний день  лучшая, чем у других  сотрудников.... (何だかんだ言って、ここの所の  アンタの記事の掲載率は他の社員より  飛び抜けてるからね....  アンタ主導でやってった方が  いいんだろうね...)」 「(エレーナ....っ)」 礼文の周りに集まっている第四編集局の局員、 自分の部下達に隆和が目を向ける.... 「え~、それじゃあ、まずは....」 「(な、何でこうなったんだ------?)」 "カタッ" 「え~ それじゃあ、先週の記事の掲載率は...」 「(・・・・)」 自分の机の上に乗せられたパソコンの画面を 礼文が開くのを見ながら、 「(.....麻衣っ...)」 隆和は、ただ自分の現状を嘆いていた.... 「Ну, тогда как насчет  завтрашних статей  Елены--сан? (あ、じゃあ、明日の数面の記事は  エレーナさんの記事でどうかな?)」 「О, я? (あ、あたしかい?)」
/75ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加