第六十五話 「стоит(価値)」

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第六十五話 「стоит(価値)」

ee7a2e7d-d4cd-45fe-b237-18493951b2c6"パラ...パラララ...." 「(これで、四日目------?)」 "パラ..." 「(一体、いつまでここにいるんだ....?)」 "バサッ" 「(・・・・)」 >>>>>>Абсолютная--Ø....。 「(河野総局長は、この施設の中で   ツベフォフの仕事を手伝う事で   ツベフォフ氏がEarth nEwsや日朝に対して   印象を変えると言っていたが・・・)」 Абсолютная--Ø。 地下施設にある小さな、金属に覆われた 簡易ベッドが置かれた部屋の中で、 隆和は中根に頼んで地上から取って来させた すでにボロボロになって使い古された "トゥルレジェ!・FUN BOOK!" の下巻を自分が座っていた ベッドの隅へと放り投げる.... "バササッ!" 「(Абсолютная--Ø...)」 何の変哲も無い、無機質で灰色一色の 室内の天井を、何となく、仰ぎ見る.... 「(何か、ここでは一応土木工事の様な   仕事を任されたが...)」 "何故、自分はここにいるのか" 「(・・・・)」 ふと、なんとなく今自分が 何故この場所にいるのか、その意味を考えていると ベッドの隅に先程自分が放り投げた "トゥルレジェ!・FUN BOOK!" の下巻の表紙に写し出された 聖女子高学園三回生、三姉妹の長女である "天音寺 遥(てんおんじ はるか)" が笑顔でこちらに向かって 微笑んでいる姿が見える.... 「(麻衣・・・っ)」 "帰りたい" 「(そもそも、ロシア...この、   藻須区輪亜部支局がある   モスクワにいるのだって訳が分からん話なのに、   その上更に日の当たらん場所で土方みたいな   仕事をさせられて、おまけに周りには   訳の分からないロシア人だらけだ....)」 "帰りたい" 【・・・父さん、就職活動をする時は  一社だけでは無く複数社の面接を受けるのが  基本なんですよね?】 【・・・多分そうなんじゃないか?】 「(功-------...)」 【-------アンタッ!?   朝、家を出る前にペットボトル  出しといてくれって言わなかったかいっ!?】 【(宏江・・・・)】 "ガチャッ!" 「!」 「あ~、編集長、言われた通り  メシの買い出しとか済ませて来ましたよ」 「中根・・・」 「スコシ、労働環境ガよくナイ場所だケド  チャント食事しナイ、ソレ体によくないヨ?」 「林さん・・・」 「ふぅ~っ」 「・・・・」 "カンッ カンッ カンッ カンッ! ベッドに寝そべり天井を見ながら 日本の家族の事を考えていると、 地上から食料の買い出しを済ませて来た 中根、そして林の二人が 部屋の中へと入って来る・・・ "ドサッ! ドササッ!" 「いや~ なんかモフソゴルロフの市場で  とりあえず、目につきそうな食材とか  買って来たんスけど、あんまり大したモンは  無いみたいですわ!」 "ガサッ" "ガササッ!" 「十分だ。」 「おっ これ、多分、イクラっスか?」 「そうなるネ・・・」 「・・・・」 ベッドの上に隆和が座り込んでいると、 大量の食材が入った買い物袋を手に提げた中根が、 袋の中に入った食材を隆和の側の机の上に 放り投げる様に並べていく 「これ、シュンルンロウ(トナカイの肉)  じゃナイ?」 「何だい? それ? 林さん?」 "ガサッ! ガササッ!" 「(・・・・)」 二人がモフソゴルロフの市場で買って来た食材を 机の上に並べているのを見ながら 「(・・・Esportsか...)」 隆和は、無機質な金属に囲まれた部屋の中で どうでもいい事を考えていた....
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