第六十六話 「шанс(機会)」

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第六十六話 「шанс(機会)」

af655da9-83c8-4094-9c9d-2fbb27b7db34"ガターーーーーーーーーーンッ! 「(・・・・)」 "ガサッ ガササッ! 「いやあ、何かよく分からんスけど  この中は外よりは  暖ったかいみたいですね・・・」 "ポイッ 「・・・作業は終わったのか?」 「・・・作業?」 "ガサッ! ガササッ! Абсолютная--Ø。 (アブソリューチナヤ・ゼロ) "ガサッ" "ガサッ!" 「・・・こんだけ人が少なけりゃ  少しくらい手を抜いたって分からんスよ」 「・・・・」 "ポイ ツベフォフを説得するために、 そのツベフォフの職場であるこの Абсолютная--Ø (アブソリューチナヤ・ゼロ) において、その仕事を手伝う事になった 隆和、中根、林の三人は どこからか聞こえて来る、騒がしい 何かの金属を打ちつける様な音を聞きながら、 冷たい空気の漂う ホジショナー変電設備試験場の中で 土木工事の様な作業を行う様になっていた... 「・・・それは何だ?」 「え?」 作業服に着替えた隆和が、自分が引いている 一輪車のすぐ脇に目を向けると、 中根が包み紙の様な物を手に持ち それを口の中へと運び、すぐ様その包み紙を 無機質なポジショナー変電設備試験場の 地面へ投げ捨てる 「いや・・・腹が空いてますからね...」 「・・・だから、何だ?」 「あ、向こう」 「?」 「Вот почему, Цубефов,  мы тоже хотим как--то  включить слова  господина Цубефова в  статью Earth nEws... (それだから、ツベフォフつぁん、我々も、  何とかしてEarth nEwsの記事に  ツベフォフさんの言葉を  掲載したいと思っていて・・・)」 「(林か・・・・?)」 「・・・・」 「また林さん、ツベフォフさんに  何か言ってるみたいですね」 「・・・そうみたいだな」 「короче говоря---- (つまり--------)」 作業中にも関わらず平然と、おそらく 地上で買い溜めをして来た時に買った 何か燻製(くんせい)のジャーキーの様な物を 口に運んでいる中根に軽く不快感を覚えながら、 少し先に目を向けるとそこには ツベフォフ、林、そして この地下施設の作業員なのか、数人の男達が ツベフォフの周りを囲む様に 砂利が軽く山になった場所で 座っているのが見える・・・ 「Уже демократия  неуклонно рушится, и  теперь демократия  становится более  неудобной в плане  свободы, чем  социализм... (既に、民主主義は崩壊の一途を辿り、  今では民主主義は社会主義よりも  自由と言う面において  不自由になりつつある・・・)」 「Конечно, как говорит  г--н Цубефов (確かに、ツベフォフさんの言う通りよ)」 「Скорее, социализм  поднял свои позиции не  благодаря своей  институциональной  структуре, а с  появлением Интернета и  социальных сетей,  обмен людьми стал  более активным, и  популярные мысли масс  распространились по  миру. Из--за этого люди  испортились... (これは、むしろ、社会主義が  制度上の構造によりその位置を上げた訳では無く  インターネットやソーシャルネットワークの  登場により人の交流が盛んになる事で、  大衆の衆愚的な思想が世の中に広がり、  そのために、民衆が  腐敗してしまった事が原因だ・・・)」 「Вижу... не заметил (成る程・・・それは気付かなかったよ)」 「何話してんですかね・・・」 「------たぶんツベフォフの  機嫌を取ってるんだろう」 ツベフォフの隣にいる林に目を向けると、 林はまるで、どこかのアジアの政治家、 しかもその国の国家主席と歓談する様な態度で 逐一(ちくいち)、ツベフォフの言葉に 感心した様な相槌(あいづち)を打っている 「・・・あんなんで  説得とかできるんですかね?」 「分からん。」 「あ、ちょっと、エモイつぁん!」 「・・・!」 作業をしながらぼうっと林を見ていると、 その林がツベフォフの周りを囲んでいる 輪の中から外れ、駆け寄ってくる 「・・・マー...エモイつぁん...  どうしタヨー」 「何がだ?」 少し困ったような表情を見せながら 林は側へ来ると、まるで促す様な顔つきで 隆和の顔を覗き込む 「・・・ワタシ、今、ツベフォフつぁん  せとくするためニ、今たくさん  話聞テルトコロなのニ、  それなノニフタリ、何もしないづぅえ  見てるダケ、ソレツベフォフつぁん  Earth nEws来てくれないデス。」 「いや...」 「マー! ケッ! ケッ、ケッ、ケッ!?」 「??」 二人の態度が不満なのか訳の分からない 中国語かどうかも分からない奇声を発し、 林は早口で隆和にまくし立てる 「イエ、ただ何モしナイでモ、  ツベフォフつぁん説得できないネ!」 「それは、そうだが...」 「・・・・」 「・・・?」 自分の目の前に立っている作業着を着た 隆和、中根に林が険しい顔つきを見せる 「ワレワレ、サンニン....こノ、サニンが  ツベフォフつぁんやテル仕事、手伝ウ  言タから、ツベフォフつぁん今、  ワレワレいい人間ダト思てるヨ・・・」 「そうなのか?」 「Поэтому отныне не в  век демократии---- (したがってこれからは  民主主義の時代ではなく--------)」 「そうヨ! ・・・それを、エモイつぁん、  それに、ナカネも、何もしナイ。  タダ、サギョウしてルだケ、  ソレじゃツベフォフさん  Earth nEws来ないヨ!」 「・・・どうすればいいんだ?」 「・・・」 「林さん?」 「そうネ--------....」 林が少し離れた場所にいるツベフォフを見る 「トにかク、ツベフォフつぁん、  Earth nEws呼びタいナラ  ワレワレ、サニン、ツベフォフつぁん  そうナルようウマく、サせる事  ヒツヨウなて来るネ・・」 「・・・・」 「じゃあ俺達は、ツベフォフ氏を  煽てて、Earth nEwsの論説委員になる様に  説得すればいいって事なのか」 「もちロン、そうヨ・・・!」 「・・・・」 "ガシッ! 「お、おい、」 二人が反応を示さず ただその場で立ち尽くしていると 林が、隆和の腕を取る 「イーアル、サンスー...  トにかク、ワレワレサニンは、  この  Абсолютная--Ø (アブソリューチナヤ・ゼロ)  にいレバ、ツベフォフつぁんと  一緒にいる機会、たくつぁんデきるヨ・・・」 「・・・」 「メイグァンシー、つぉにかく  ワレワレサニンは、天祐(テンチュー)  によテ、今こノ場でツベフォフつぁんと  話スルキカイ与えられたヨ・・・!」 "グッ! 林が、隆和の手を強く引っ張る! 「お、おい」 「少ない天祐(テンチュー)、"キカイ"  ノがすコトハ、よくナイことデス・・・」 「お、おい」 "グッ! そして、そのまま腕を取りながら 砂利の山の上に座っているツベフォフの元まで 引きずる様に隆和の手を引いて行く 「お、おい、林さん!」 「天祐(テンチュー)! 天祐(テンチュー)ヨ!」 「へ、編集長!」 「て、天祐(てんちゅう)って...」 "ザッ ザッ ザッ ザッ--------....
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