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それでもおばあちゃんは私に気を遣って、帰省するお盆前と年末は家中のクリーニングを業者に依頼し、常に玄関から一番近い部屋と台所には猫を入れないようにしてくれていた。
飼い猫が老衰で亡くなった後は、次の子を迎えるのを我慢してくれていたらしい。
「おばあちゃんにあの時のこと、ちゃんと謝れないままなのが…悔やまれるのよ」
そのおばあちゃんは5年前、急な病気で亡くなってしまった。
今、おばあちゃんの家には父の兄家族が住んでいる。猫でなく、犬を飼っている。
母は猫カフェオープンチラシをさりげなく新聞の下に置き、父の目に留まるように仕向けた。
次の日に母はチラシも新聞入れに片付けたが、後日そこからチラシが無くなっていた。初回特別クーポンが付いていたのだ。
「こんなに効果があるとは思っていなかったけど、猫に飢えていたのね。毎回4時間くらい猫カフェに滞在して癒されて、その後猫の毛1本残さないように実家で服を洗濯してお風呂に入って帰ってくるの。お父さんが隠しているという事は、誰にも知られたくないのだろうからと黙っているけど、流石に実家でお風呂をもらってくる事は無視できなくて、こっそりお詫びに行ったわ」
母は抹茶パフェを堪能しながら、よく喋った。
父は私のアレルギーをちゃんと気にしてくれていたのか。
おばさん曰く「猫の毛が付いたものをコインランドリーで洗っちゃいけないって言われたら、貸さないわけにはいけなくて」と。申し訳ないです。
「さて、今日も普通にお父さんを出迎えてね。私達は家に帰って、お昼ご飯にしましょう」
抹茶パフェを平らげて、母は伝票を持って立ち上がった。
父にとって猫は生活の一部で、日々の癒しに必要だったのだろう。
私の猫アレルギーを知った時は…ショックだっただろうな。
飼う事は、難しい事なのだろうか。
私の猫アレルギーが既に治っている事は無いだろうけど、上手に飼う方法がないか調べてみよう。
◇ ◇ ◇
後日、猫カフェから父の一番のお気に入りの子を我が家の家族として迎え入れることになった。
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