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「こんなに上手くいくとは思わなかったわよ。今までの十数年間はなんだったのって思った」
母が抹茶パフェとチョコレートパフェのどちらにするか悩みながら話し始めた。
猫カフェに入ろうとした私を阻止した母と、そこから少し離れた喫茶店に入った。
「お母さん、知ってたの?お父さんが猫好きだって事」
母は結局抹茶パフェを選び、店員さんを呼んだ。
私はコーヒーを注文した。
「あの店ね、1年前くらいかな。オープンチラシが新聞に入っていて」
母はそのチラシを見た瞬間、ある事を思い出したのだ。
私は生まれた時からアレルギー体質で、牛乳も卵も小学生になるまでダメだった。その過程で、猫皮屑に対してもアレルギー反応を起こしてしまうことがわかった。
「お父さんの実家で猫を飼っていたのよ。実家に行く度にあなたの調子が悪くなっていたから怪しいな、と思っていたんだけどね。アレルギーがあるのでそう頻繁に連れて行けませんっておばあちゃんに伝えたらね、「弱い子ね。うちの家系にはそんなアレルギー持ちなんていないのに」って言われちゃって」
その時母はショックで黙り込んでしまったが、その日の夜、父と初めて大喧嘩したらしい。
「アレルギーなんて、誰のせいでも無いのに。遺伝的要因もあるだろうけど、誰だって今後急に発症するかもしれないのよ。そうでなくても、自分の孫に対して酷いと思って…ついお父さんにおばあちゃんの悪口言っちゃって。それをお父さんがおばあちゃんにそのまま伝えちゃったものだから、お父さんともおばあちゃんとも大喧嘩」
…それは母も悪い。
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