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セイラの全く予想していなかった答えに皆が驚きを隠せなかった。
中でも一番衝撃を受けたのはセツのようだった。
「どっ、どうして、ですか・・・?」
『だって、死は善人悪人関係なく来てしまうものですから。訪れて当たり前のもので罪を償うことなんてできません。やはり罪は、生きている内に自分がどれほどの過ちを犯してしまったか見つめ直すことでしか償うべきもの・・・そう私は思っています。』
セイラの考えを聞いてユウ達は彼女の芯の強さに心打たれた。
恋人の命をあのような残虐な形で奪われたのにも関わらず、それでも自分の信念を歪めず貫こうとしているのだから。
『私って薄情な女ですよね。好きな人をあんな惨たらしく殺されたら同じような目に遭わせてやりたいって思うのが普通なんですから・・・』
「いえ、そんなこと・・・私だって屍葬士のくせして、婚約者さんを殺した屍神を殺したくないって思ってて・・・」
セイラがユウに何故かと聞いたので、ユウは言葉を憚れながらも理由を打ち明けることにした。
「私が出会った屍神は、みんな心の奥で助けを求めていました。”もうこれ以上誰も殺したくない。お願いだから誰か助けて”って。彼女たちも本当は被害者なんです。死ぬはずだったのに、神母によって無理やり人殺しの化け物として生き返させられた。私は、彼女たちが生きて罪を償って、いつか愛する誰かのところに帰れる手助けがしたい・・・そう思ってこの仕事を続けています。」
ユウの想いを聞いて、セイラは穏やかながらもどこか悲し気な微笑みを向けてきた。
『そう・・・じゃあもし、彼を殺した屍神が同じように苦しんでいるのだとしたら、どうか救ってあげて。あなたにだったらそれができるはずだから・・・』
「はい!」
セイラの言葉に、ユウは自分の気持ちに正直になりながら力強く応えてみせた。
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