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一行がセイラの家を出た頃には、辺りはすっかり夕焼けに照らされていた。
オレンジ色に染められた街へと続く道を、ユウ達は言葉を交わすことなく歩いていた。
「ユウ殿。お主、昨日何かあったのではないか?」
カノが思い切って今までのユウとセツの挙動の理由を聞いてきた。
するとユウは立ち止まって一行との間に距離が開いた。
「「ユウちゃん(殿)?」」
「ごめん・・・実は私、自分がやってることが本当に正しいことなんか不安になっちゃてたの・・・でもやっぱり、本当は人殺しなんかやりたくないって思ってる相手を殺すことなんか、私にできない。だから私は、これからも屍神を殺さない。彼女たちは生きなければならないから。生きて、いつか自分にとって大切な人のところに帰らなくちゃならないからッッ!!」
皆に対して言われてるように見えるユウの宣言。
だがそれは、たった一人。ユウの想いを真っ向から否定した彼女にとって誰よりも大切な存在に向けて放たれたものだった。
モナ達がユウの方に目をやる中で、セツだけは振り返ることなく背中を向けユウの青臭い決意を最後まで聞くと再び何も言わず歩き始めた。
「セツお姉ちゃん!!」
ユウに呼び止められ、セツの歩みがピタッと止まった。
「だから約束する。もしセツお姉ちゃんがその人にまた会って一線を越えるようなことになった時には、私がそれを全力で止める。何があってもその人を守ってやるし、そして何より、セツお姉ちゃんの手を汚すようなことなんて絶対にさせないんだから・・・!」
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