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セツの顔が一気に青ざめた。
今回の依頼で殺された男性は、コイツが自分を誘い出すためだけに殺されたのだ。
そう思いだした途端、セツは罪悪感で胸が圧し潰されそうになった。
また私のせいで人が死んだ。
私に向けられた復讐心が原因で、恋人と幸福な道を歩んでいくはずだった若者の命が消えてしまった。
セツの胸の内は、女と同じくらいの自分への怒りでいっぱいになってしまっていた。
『かわいそうにねぇ~アンタがあの時死んでたら、この街の男だってアタシに殺されずに済んだのに。』
罪悪感で打ちひしがれるセツに追い打ちをかけようと、女はセツをなじり始めた。
『この前アタシに殺された男ね、死に際にこんなこと言ってたよ。“なんで俺がこんな目に”って。そこで言ってやったんだよ。“アタシの友達を殺したヤツのせいだ”って。それ聞いた途端力抜けてバタっと死んじまったよッッ!!ほんっと残念だよね~アンタが生きてるせいでそいつ、彼女と結婚するはずがアタシの生け花台になったんだからさぁ。結局さ、アンタが人殺さないって決めたところで周りがバッタバタ死んでくんだから、アンタは屍神と一緒なん・・・』
「黙れぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!」
気が付けば、セツはまだ治っていない右腕で、女の胸を貫こうとしていた。
対する女は、セツの拳をヒョイと避けると脇に立っている家の外壁にトンと軽やかに乗った。
「ガアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!」
セツは咆哮を上げると、外壁に乗っている女の胸目掛けて再び拳を向けてきた。
女は外壁から飛び降り、またもやセツの攻撃を回避した。
女の身体が宙を舞っている最中、セツは彼女の頭をガッ!と掴むとそのまま身体ごと地面に叩きつけた。
『がはぁ・・・!?』
地面に後頭部を押し付けられた女がセツの顔を見ると、彼女は韓紅色の瞳から血の涙を流しながら唸っていた。
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