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女の顔面を殴り続けるセツだったが、その手首に鋭い痛みが走ったので目をやると、女が手にしたハサミが殴り続けるセツの左の手首にパックリと開いた深い傷を付けていた。
『こぶぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!』
セツが絶え間なく殴ったせいで鼻が顔の内側に凹み、眼球が瞼の中で潰れ、歯がバキバキに砕けた女が、その見るも無惨に変わり果てた形相で叫びながら、すでに左足しかまともに動かすことのできないセツの腹にハサミを突き刺すと、彼女もろとも地面にドタンッ!と倒れこんだ。
そして、身体に咲いた花のせいで身動きが取れなくなったセツの腹からハサミを抜いた途端、それを使って彼女の身体中を切り裂き始めた。
ジョキジョキとセツの肉が裂ける痛々しい音とともに、セツの身体から彩色豊かな花が咲き乱れた。
「グガァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!」
全身を駆け抜ける信じられない苦痛に、セツは喉の奥から絶叫を搾り出して、轟かせた。
『痛いだろ!?でもね、アンタに心臓潰されたあの子はもっと痛かったんだよッッ!!アンタの身体中あの子に手向ける花で埋め尽くしてやるッッッ!!!』
女は呪詛の言葉を吐きながらセツの全身を切り刻んでいく。
この時点でセツは全身をまともに動かすことができずにいた。
だが彼女はここでみすみす花まみれで殺される気など微塵もなかった。
セツはハサミを持つ女の手首に噛みついて首を思い切り後ろにやる力に任せて噛み千切った。
『アアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!』
女は叫び声を上げながら手にしたハサミをカランと落とした。
するとセツは上半身をガバっと起き上がらせると女の喉笛に噛みつき、ブチブチッ!と彼女の首の肉を引き千切ってしまった。
女の首からブシャァァァァァァァァァァァ!!っと鮮血が噴き出す。
『ごぼぉ・・・ぶっ、、げぼぉ・・・』
女は口から血を吐いて、首を押さえながら四つん這いでセツから逃げようとした。
「こ、、ろす・・・こ、ろ、、す・・・」
身体中から花々が咲き乱れ、動くことができないでいたが、まるでセツは芋虫のように這いながら首を押さえて逃げる女の息の根を止めようとした。
(あと少し・・・あと少しで私は、あの人たちの仇をッッ!!)
待ち望んでいた仇討ちをようやく成し遂げることができる。
そう思うと、セツの頭は言い様のない満足感で満たされた。
『ごぶぉ・・・ちっ、ちく、しょう・・・』
対する女の顔は悔しさでいっぱいだった。
友の敵を取ることが叶わず、ましてや友を殺した相手と同じ者の手にかかって自分が今まさに殺されようとしているのだから・・・
(これで、これで、これで、これでッッッ!!!)
女のすぐそばまでやってきた時にセツの口から笑みが零れた。
これで私は、あの人たちに報いることができる・・・
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(だめぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!)
「え・・・?」
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