第陸拾玖話 怨の激突

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その時、頭の中で誰かの声が響いた。 それは、屍神となってしまった時に、自分の手で命を奪ってしまった妹の声・・・ その直後、自分の身体がフワっと誰かに支えられるようなちょっぴり心地よい感触がした。 セツは痛みでぼやけた視界でその者の顔を見た。 「ルウ・・・?」 それは紛れもなく、自分が手にかけてしまった妹の顔。 呆気に取られたセツはもう一度その顔を見直した。 妹ではなかった。 しかし、同じくらい大切に想っている者の顔がそこにはあった。 「ユウ・・・」 「お願い。セツお姉ちゃん・・・その人を殺さないで。これ以上、、自分を、傷つけたりなんか、、しないでよぉ・・・」 セツの身体をしゃがみながら抱き上げるユウは、花にまみれた彼女の身体に顔を埋めながら、ただひたすらに泣きじゃくった。 自分の信念と、想い人の心が護られるのを祈りながら。
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