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シトは暗いアタシと違って社交的でお淑やかで、人当たりがいい素敵な女性だった。
教室で初めて彼女を見た時、自分とはあまりにも正反対な彼女を見て、『こんな女性とは一生仲良くできないんだろうな。』と話しかける前から諦めていた。
ところがある日、思いがけないことが起こった。
彼女の方から話しかけてきたのだ。
『ねぇ、宜しければご一緒しても?』
いきなり話しかけられたので、アタシは上手く返答することができずしどろもどろになってしまったが、彼女はそれに対して優しく微笑むのみだった。
その日から、アタシとシトは一緒に花を生けるようになった。
彼女の周りにはいつも人が集まったので、その人達と交流する内に、アタシの引っ込み思案な性格も徐々に改善されていき、明るいものになってきていた。
いつしかアタシとシトは、花の生け方、休日の過ごし方、好きな料理が同じでよく馬が合ったので、傍から見たら親友とも言うべき間柄になっていた。
ある時アタシは、シトに『器用で面倒見が良くてホントに憧れちゃうわ~』と冗談ぽく言ったことがある。
だが彼女はアタシに対して『あんまり憧れないほうがいいわよ・・・』と悲しい笑みを浮かべながら返してきた。
どこかただならない雰囲気を感じたアタシはどういうことかと聞いてみた。
どうやら彼女には別れた夫がいるらしく、この男というのがとにかく嫉妬深く彼女のことを徹底的に束縛したから、我慢できなくなったシトは必死に彼から逃げてきたのだという。
その元夫が、今でも血眼になってシトのことを探しているらしく彼女はいつも見つかることを恐れているとのことだった。
アタシ恐怖に怯えるシトを見て、彼女に誓った。
『アタシの身に何があっても、その男からあなたを守ってみせる!!』と。
シトは微笑しながら、『あんまり危なっかしいことはしないでね・・・』と言った。
アタシは自分の本気が伝わらなかったと感じて、少しむくれた。
ところがそう遠くない先に、アタシはその日が訪れてしまうことをまだ知らなかったのだ。
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