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『うっ、うう・・・シトぉ・・・』
次第にアタシもこみ上げてくる感情がとうとう抑えきれなくなってしまい、血で染まりきった彼女を抱きしめ返した。
『良かったわね。またお友達と一緒になれて。』
顔を上げるとそこには、抱擁し合うアタシ達を嬉しそうに眺める一人の女性が立っていた。
よく見るとそれは、アタシ達の国、西ミユウ国の女王様だった。
『これからは、二人仲良く、あなたたちが本当にしたい事を好きなだけやっていくようにしていきなさいね。』
何故女王様がここにいるのか。彼女が何を言っているのかよく解らないでいたが、その時は、そんなことなんてどうでもよかった。
だって、こうしてまた親友と一緒になることができたのだから。
(さぁて。これから誰を殺していこうかしらねぇ♪)
シトの身体を抱きながら、アタシはこれからすることにワクワクしながら不気味に笑った。
◇◇◇
(そうか・・・アタシはただ嬉しかったんだ。また、シトと一緒になることができて・・・)
彼女はようやく、殺意の衝動で覆い隠された己の本心に気付いた。
そして、彼女は激しく後悔した。
自分はただシトと一緒にいたかっただけなのだ。
何も彼女と一緒になって屍の山を築きたかった訳じゃない。
ところが彼女は、大勢殺した。
何の罪もなく、まだある未来を生きたいと願った人々を殺した。
最期の瞬間まで愛する者を守ろうとした人を、喜々として、殺した。
まるで、あの時、自分を殺した、あの男と同じように・・・
『ごめん・・なさい・・・』
自分の罪の重さを思い知らされた哀れな屍神は懺悔の言葉を口にし出した。
『ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい・・・!!!!』
頭を抱えながら自分が殺してきた者たちに謝罪し続けるメイを、ユウは直視することができなかった。
ひとしきり謝ったメイは、何かを頼むような眼差しをユウを向けてきた。
その願いを、ユウは彼女の瞳から感じ取った。
“殺してほしい。”
それが彼女がユウに託した願いだった。
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