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モナから友人の近況を聞いて、彼女は今何をしているのか気になりユウは少し頭を捻った。
その傍ら、モナは「はぁ・・・」とため息をついてユウの向かいに座った。
「でもメアの言う通り、今回はさすがにくたびれましたね・・・」
「ゆっくり休んでって。良かったら何か頼んで来ようか?」
ユウの誘いを、二人は首を横に振って断った。
「オレ達のことはいいからさ、早くアイツに茶菓子持ってってやれよ。」
ユウは少し申し訳なくなり、身体を重たくしながらゆっくり立ち上がって手つかずのお皿を持って自分の部屋がある三階へと向かった。
◇◇◇
宿舎となっている三階はまだ昼間ということで、皆依頼に行っているか下の集会所で落ち着いているかしているので閑散としていた。
窓から日差しが差し込む廊下を進み、自分の部屋の前に立つとユウは扉を三回ノックした。
中の人物に自分が帰ってきたことを伝える回数だ。
「どうぞ。入っておいで。」
部屋から少女の声が聞こえた。
ユウにとって、この世で最も大切な者の声が。
扉をガチャッと開けるや否やユウは自分を迎えてくれた者に思いっきり飛びついた。
「セツお姉ちゃん!!」
自分の胸に飛び込んできたユウの頭を、屍神の少女・セツは優しい手つきで撫でた。
「おかえりなさい、ユウ。」
「えへへ、ただいま~♪」
セツに頭を撫でられたユウは、まるで飼い主に甘えるネコのように目を細めて甘えた。
「また私にお菓子持ってきてくれたのね。ありがとう。」
セツはユウが咄嗟に玄関の靴入れの上に置いた茶菓子を見てユウにお礼を言った。
「そろそろ食べたがってるのが分かったから持ってきたんだよ!」
瞳を見ることで他者の心情を読み取ることができるユウにとって、セツが何を食べたいと思っているのか理解することは造作もないことだった。
「私も実はユウのためにお菓子作ったところなの。ねぇ、よかったら一緒にお茶にしましょうよ。」
「ホント!?やったー!!」
昼下がりに大好きなセツと憩いのひと時が送れることに胸を高鳴らせて、ユウは今一度部屋の外に誰もいないことを確認し、部屋の扉を閉めた。
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