(1)おみおくり

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(1)おみおくり

「いいかい、マリア。パパとママの言ったことを、しっかりと守って、いい子にしているんだよ」 「はぁい パパ」  マリアの髪を優しく撫でた手で、パパがネクタイを直します。  両親と3人、このお部屋で暮らしてきたマリアにとって、ひとりきりでお留守番をするのは初めてのことでした。  テーブルには、先に出かけたママの用意した手作りのマフィンに、新しい画用紙とクレヨン。  どれもマリアが大好きなもの。ほんの数時間のお留守番ですが、マリアが退屈しないよう、パパとママが昨日のうちに買ってきてくれたのです。  パパもママも、マリアのことが心配で堪りません。  どうにか用事の日にちや時間をずらせないかと頑張りましたが、結局どうにもならなかったのでした。
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