【1】The beginning

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〜警視庁刑事課〜 10:00過ぎ。 1人の女性が、気持ち控えめに入って来た。 ミニスカハイヒールの美女に、男性陣のみならず、全員の目が引き寄せられる。 「おはよう…ございます」 無言で課長の富士本が手招きする。 知った顔を見て、急に胸を張る彼女。 コツコツとヒールを響かせて向かう。 (やれやれ…相変わらずか) 「おい、皆んな聞いてくれ」 言われる前から、珍しく聞いている皆んな。 「今日から配属になった、鳳来咲(ほうらいさき)さんだ。大阪の裁判所で、検察を潰した例の元弁護士だ。よろしく頼む」 「潰したなんて人聞きの悪い💦、まさか本当に本庁の刑事課長とはね〜驚いたわ。みなさん、咲って読んでくれていいから、よろしく❗️」 容姿と威圧感に、()される皆んな。 その時、刑事課の外線が鳴った。 秒でとる咲。 「はい警視庁刑事課、場所と概要を!」 即座にスピーカーフォンに切り替える。 「文京区の国立名桜女子高等学校で、卒業式中に女子生徒が1名死亡。天井から落下した照明が直撃した模様」 「それって事故じゃないの?神田署の管轄でしょ?」 既に都内の各所轄を把握していた。 「政府の要請により、本庁の出動をお願いします。被害者は坂上総理の娘、坂上紫乃譜(さかがみしのぶ)18歳です」 「おっと、そう来たか。了解、直ぐに向かいます」 電話を切る咲。 (ん?) 「…で良かったわよね?富士本さん」 「上出来だよ。ほら、皆んな急げ❗️。咲、君は私と一緒に」 「ただの事故にVIP対応ね、まぁ…いいけど。行きましょ!運転はあたしが…」 「だ〜め〜だ❗️近頃は酒の匂いの香水でもあるのか?全く」 「バレたか…💧」 この時、誰もこの事故の先にあるものを、知るはずはなかった。
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