【1】The beginning

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〜千代田区霞ヶ関〜 皇居へと通じる桜田門前。 地上18階、地下4階の警視庁本部ビルがある。 その刑事課の会議室に集まるメンバー達。 「富士本さんは、官邸へ行っているので、課長補佐の私が進めさせてもらう」 刑事課のエース、辻本周(つじもとめぐる)。 鑑識結果と検死報告書のコピーが配られる。 「ちょっと待て。害者が総理の娘だったから、初動は仕方ないにしても、事故だろ?事件性もない様だし、我々が動く必要はないんじゃないか?」 ライバルの笹谷朋久(ささやともひさ)である。 うなずくメンバー達。 (あらあら、派閥争いなんてあるのね) 「ちょっといいかしら?」 「咲…刑事、何か?」 「事件性がないのに、警視庁刑事課の課長が、報告に行く訳ないでしょ?この検死報告書、2枚目は何でないのかなぁ?」 「2枚目?」 「そう、2枚目。検死官の豊川さんって人は、もう一枚書いてたわよ」 「ああ、あれか。あれは、検死報告書じゃなくて、彼の現場メモだ。正式なものじゃない」 「じゃあ、鑑識班の目は節穴(ふしあな)ね。鼻っから事故と思ってるから、そうなんのよ」 咲が皆んなの前に立つ。 自然と男どもの視線が下がる。 「こら、お前らどこ見てるんだ?」 「富士本課長!早いですね」 「ああ、途中で報告は要らないと連絡があってな。咲、お前に用があるらしい」 富士本の後に、検死官の豊川が入って来た。 「豊川さん。丁度良かったわ。あなたのメモを見せてくれるかしら?」 「俺もそれを渡したくてな」 豊川からメモを受け取り、貼り出す。 「やっぱりね〜。あれは事故じゃないわ❗️」 「何だって⁉️」 富士本までも驚いた。 「あの照明はここ。被害者はここ。おかしいでしょ?」 「真上じゃ…ない」 「さすが辻本さん!当たり。真上どころか、この位置なら掠りもしないわ」 「でも、100キロ近い機材が、どうやって害者の真上へ?」 「それをこれから調べるんじゃない!総理が咄嗟に警視庁を呼んだのも、何か気になるのよね〜」 「まだあるぜ、咲さんよぉ」 豊川が録画したメモリーを渡した。 「おい、豊川。報道規制で、録画や写真は没収されたんじゃ?」 「いいから、見てみろ」 パソコンで再生する。 卒業生の列が、入ってくるところである。 「ん?被害者の前、えらく空いてるわね」 「だよな。12人目から害者までが、1人分空いてやがる」 「マスコミ向けの特別対応だろう。やりそうなことだ」 「違うわ。…彼女は14人目のはず。卒業生のリストを見たから、間違いない!」 「発表では、彼女以外の卒業生126人は、全員教室で卒業証書を授与されたと…」 「リストでは、卒業生は128人よ。1人足りない…13人目は誰?」 「欠席かリストの間違いじゃないか?騒いでる親もいないしな」 「あっ、今のところ!戻して❗️」 咲の言う通りに戻して再生する。 「ストップ❗️ここ、プリントアウトお願い」 「何なんだ?」 「この彼よ!携帯で録画してる。何か写ってるかも知れないわ。調べてみる」 プリントアウトした紙を受け取り、富士本を見る咲。 「何だ💦…おい、まさかお前」 「行くわよ早く!」 「分かった分かった。まだ運転手やらせる気か💧お前ら、13人目が誰かつきとめとけ❗️」 出て行く2人。 「あの2人…どういう関係なんでしょう…」 唖然と見送るメンバー達であった。
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