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変化
入り口に青色と白色と赤色が螺旋状にクルクル回っている。
「いらっしゃい。今日もカットと思いっきり明るい色でいいの?」
馴染みのおじちゃんが明るく声を掛けてくる。
「えっと、色は黒で!」
「く、クロー?!春から3年だっけ?でも黒にするの早過ぎないか?!」
「んー、もう満足したから戻そうと思って」
「……そっか、でもここまで色抜けてたら黒入らないかもしれないぞ」
「それでもいいよ。」
迫平先輩と別れての帰り道ですぐに床屋に行った。
地味男になったら分からないだろうと話したら、すぐに見つけられると言ってくれた。
先輩が卒業した後に戻そうと思ったけど、何だか早く見せたいと思った。変身した自分を。
「おー、まぁまぁなんじゃね?お前、元が良いから黒も似合うな」
「上手い事言うね〜!でも確かに悪くないかも」
鏡に映る自分は黒より気持ち明るめの自然な髪色。短めにカットしてもらったが癖っ毛があるので前髪はふんわり、横はサイドに少し流れている。
瞳が黒より少し明るい色だから髪と合っており、あまり暗くない。
全体的に落ち着いたが、真面目過ぎず笑顔を振りまけば人を魅了出来る仕上がりになっていた。
中学まではカットしかしてなかったから、そのままで居たら本当に目立つ事無く、平凡で終わっていただろうに、間で様変わりし過ぎたせいか良いイメチェンになっていた。
あと背が伸びたから、暗い色でも目を引いているのかもしれない。
時計を見る。もう部活も終わる時間だが、学校に戻ってみる事にした。
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