10人が本棚に入れています
本棚に追加
「ケガは眞宮さん? 痛いところは?」
内田は医者のごとく親身になってあれこれ聞いてくる。
パンプスを履き直し荷物や服装の汚れを払ったひなたは、おそるおそる二本の脚で立った。うん、ひねった足首は気になるが我慢できないほどじゃない。内田に向き合うなり、強めの口調で言った。
「内田さん、自分のことより助けたい人が他にいます。少しだけでいい。私に協力してください」
彼はやはり丸い目を更に丸くしていた。しかし、
「お話、伺いましょう」
事態が急を要していると察してか、すぐに車の助手席に乗るよう勧めてくれた。
最初のコメントを投稿しよう!