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「ミミちゃんもシアちゃんもリノちゃんも、
ヒュー君もオー君もスー君も!
みんな言葉を失ってしまった!」
「あ、名前覚えたんですね」
アカリは満足そうにうなずいた。
「ああぁもう、君というやつは……
余計なことはするなと何度も言ったじゃないか……」
「なんのことかよくわかりませんが、
無事に繁殖が進んでいるようで、良き良きですね!」
博士は谷よりも深いため息をつくと、
悲し気に水槽を見た。
――アイシテル
――アイシテル
ゲル状のヒトデナシ達は溶け合い、
彼らの中心にある、梅干しのような赤い核どうしを結合させていた。
これはまさしく、アカリの言うところの”繁殖”なのだが、
博士はそのことに怒っているわけではないらしい。
「君が”愛してる”などと言う言葉を教えてしまったせいで、
彼らの知能指数が著しく低下してしまったではないか!」
明星くんの人でなし!」
「”ヒトデナシ”だなんてひどい!
大体博士はいつも説明が下手なんですよ!」
不毛な言い争いはこの日の朝から夜まで続いた。
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