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くるみがしどろもどろになり、言い訳を考えていると、長谷川がさらに問い詰める。
「指輪を外そうとしてたな? もしかして……そっちを見たのか?」
そう訊かれてくるみは頷き、恐る恐る訊いてみた。
「あれって、どう言う意味?」
「はぁ? くるみ、英語は分かるだろ?」
「いや、そうじゃなくて! My love will never change って、私の愛は永遠に変わらないって意味だよね。それって…」
「そのままだろ」
長谷川がくるみから離れ手を離し、横に並んで座る。くるみは体を起こし座って、長谷川に訊き返す。
「そのまま? そのままって…」
「結婚指輪なら、そんな言葉、普通だろ?」
「じゃ、初めから書かれていたの?」
「………あぁ…」
(今、変な間があった…)
くるみは長谷川に詰め寄り追い詰める。
「じゃ、光広の方にも、何か書かれているんでしょ? 見せてよ」
強引に長谷川の左手を掴んで、指輪を取ろうとする。必死に抵抗する長谷川。
「はぁ? それは、別に見なくてもいいだろ。くるみのはそっちだし」
「いいでしょ! 見せてよ!」
しつこく指輪を取ろうとした時、長谷川がくるみを抱き寄せて抱き締め、耳元で囁く。
「ダメだ。これは見せられない。頼む……これ以上は…」
(何…なんで…? 何があるの…)
くるみにはそれ以上問いただす事が出来なかった。
長谷川は黙ったまま帰り支度を始め、くるみも仕方なく帰り支度を始める。部屋を出て、フロントに行くと和香が出て来て笑顔でくるみ達を見送った。
車に乗り込むと長谷川がくるみに手を出して言う。
「指輪、預かっとく」
くるみは指から指輪を外し、長谷川に渡した。長谷川も指輪を外し、鞄から指輪を入れる箱を取り出しフタを開けて、指輪を並べてしまう。箱を鞄にしまい、シートベルトをして車を出した。
家に帰る車の中は沈黙の空気が重い。くるみはしつこく聞いた事を悔やみ、重い空気を破って長谷川に言った。
「ごめん。しつこく聞いたりして……もう聞かないからさ、仲直りしようよ」
「あぁ……じゃ、何か食って帰ろうぜ。腹減ったし。それを奢ってくれたらいいよ」
「あっ、い、いいよぉー。何でもどーぞぉー」
長谷川がくるみの提案にいつも通りの態度でのってくれた事が嬉しい反面、何を奢らされるのかと言う少しの不安を持ちながら、くるみは思っていた。
(指輪に何が書かれているのかは、教えてくれないんだ……それなら…)
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