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「俺が帰って来るまで、待っている事は出来なかったのか? 今はお互いの生活を干渉しないっていうのも、ほとんど無いようなもんだし」
「……ごめんなさい。光広が何を考えているのか知りたかったの」
長谷川がくるみの腕を離し上から下りて、ナイトテーブルの2つの指輪を取った。くるみの隣に座り、指輪を重ねて刻印を見ながら話し始める。
「この刻印は、知り合いの宝石店で入れてもらったんだ。レーザーで入れるんだけど、メッセージが長いって怒られた」
「ふふっ…」
くるみが体を起こし座り直すと、長谷川はくるみの左手を取って、小さい方の指輪を薬指にはめながら話す。
「こっちは、くるみにそのまま持っていてもらうつもりだった」
「離婚した後も?」
「うん。だから「俺の愛は永遠に変わらない」って入れたんだ」
「私への想いなんだ……ありがとう…」
長谷川は微笑んでキスをした。そして大きい方の指輪を、自分の左手の薬指にはめて言った。
「こっちは、俺の誓い。「俺はくるみを生涯愛し続ける」って心に誓ったんだ」
「誓い…か……っ…意志が強い訳だ…」
くるみの目が涙で潤む。
「この指輪の番いをくるみが持っているって思っただけで、俺は生きていけると思った。それだけでいいって」
「だから、コンマで繋げたんだ…」
「あぁ……指輪は元々2つで1つになるように綺麗に重なる。だけどもう1つ繋がりが欲しかった」
「あの時、話してくれればよかったのに…」
長谷川が首を横に小さく振って話す。
「俺はくるみを家の重圧から解放してやりたかった。早くくるみを手放さないといけないって考えていたんだ。だから、話さなかった。まさか、そんなに気にしていたとは…」
「気になるよ。だって、好きな人の事だもん。必死に隠すのはどうして? って思うでしょ」
「くるみが俺を好きだったなんて、それもびっくりだけど…」
「そんなの、私もだよ!」
「ふっ、そっか。じゃあ、そろそろ本題に入ろうか…」
長谷川がニヤリと笑い、くるみの腕を掴んでもう一度ベッドへ押し倒す。
「色々と話がそれたけど、生活環境が変わったにしても、くるみが約束を破った事には変わりない。お仕置きが必要だよな」
「えっ……それは…だって…」
「さっきも言ったよな、俺が帰るまで待っていればよかったって。だけど、待てずに約束を破った。それは完全な裏切りだろ?」
「……は、はい…」
「じゃ、始めよっか」
(一体、何をされるの……お仕置きって…)
くるみは長谷川に腕を押さえつけられ、身動きが取れずジッと長谷川を見つめていた。心臓は今にも飛び出しそうにドキドキと鼓動を打ち、体は緊張で強張る。
「じゃくるみ、俺の好きなところ10個言ってみて」
「えっ……光広の好きなところ? 10個?」
ニヤリと笑って見下ろす長谷川が、すごく楽しそう。くるみは出された条件を必死に考え答える。
「えっ、えっと……カッコいい! 優しい! 頼りになる! えっと…」
「ふふっ……今で3つ。ほらっ、他には?」
「仕事が出来る! センスがいい! あと…あっ、モテる!」
くるみがあたふたしながら必死に答えていると、長谷川がキャミソールの裾を捲り、手が直接肌に触れる。腰から脇腹を大きな手で撫で上げられ、くるみはゾクッと感じた。
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